数学Ⅰ「数と式」解き方の型 13選
数と式は、ⅠAのすべての単元の土台です。展開・因数分解・根号の計算でつまずくと、2次関数や確率の最後の計算でも点を落とします。
この単元では「どの公式の形か」を見分けることが一番大切です。式を見たら、まず項の数と形を確認し、当てはまる型を決めてから手を動かしましょう。
このページでは、数と式でよく使う解き方を 13 個の「型」に分け、それぞれ「使う問題・考え方・手順・例題・間違えやすい点・似た型との違い」の順に解説します。例題と解説はすべて当サイトのオリジナルです。
1. 計算の順序の型
使う問題
+−×÷・かっこ・累乗・分数がまざった「ふつうの計算」。式が長いほどこの型。
考え方
計算には優先順位がある(かっこ → 累乗 → ×÷ → +−)。分数でわる計算を「逆数をかける」に直すと×だけになり、約分も見通せる。
手順
- 累乗とかっこの中を先に計算する((−2)² と −2² の違いに注意)
- × ÷ を左から順に計算する(分数でわるときは逆数をかける)
- 最後に + − を通分して計算し、約分する
例題
問題 12 − (−3)² ÷ (3/4) を計算せよ。
- 累乗:(−3)² = 9
- ÷ (3/4) は × (4/3) に直す:9 × 4/3 = 12
- 12 − 12 = 0
答え 0
間違えやすい点
- (−2)² を −4 にしたり、分数でわるときに逆数にし忘れる。
- −3² と (−3)² を区別せずに計算する。
似た型との違い
「係数だけ取り出す展開の型」は一部の項だけを調べるが、この型は全部を最後まで計算する。
2. 係数だけ取り出す展開の型
使う問題
「x² の係数は?」「定数項は?」のように、展開した式の一部の項だけを聞かれる。
考え方
全部を展開する必要はない。目的の次数ができる「取り出し方」だけを数えれば、計算量が大きく減る。
手順
- 全部は展開せず、目的の次数ができる組み合わせだけを拾う
- 積なら「どの因数から x を出し、どれから定数を出すか」を数える
- (ax+b)ⁿ なら二項定理 nCk·(ax)ᵏ·bⁿ⁻ᵏ の係数を計算する
例題
問題 (x + 2)(x² − 3x + 4) を展開したとき、x² の係数を求めよ。
- x² ができる組み合わせは「x × (−3x)」と「2 × x²」の 2 通り
- −3 + 2 = −1
答え −1
間違えやすい点
- a の累乗(係数の累乗)を掛け忘れる、b の符号の処理ミス。
似た型との違い
「乗法公式で展開する型」は式全体を展開するが、この型は欲しい項だけを拾う。
3. たすき掛けの型
使う問題
x² の係数が 1 でない 3 項式(2x²+7x+3 など)を因数分解する問題。
考え方
(px+q)(rx+s) を展開すると prx²+(ps+qr)x+qs。「積が係数 a と c になる組」を並べ、斜めにかけた和が b になる組を探す。
手順
- x² の係数 a と定数項 c を、それぞれ 2 数の積に分ける
- 斜めにかけて足した値が x の係数 b になる組を探す
- (px+q)(rx+s) と書き、展開して検算する
例題
問題 2x² + 7x + 3 を因数分解せよ。
- 2 = 1×2、3 = 1×3 と分けて組を試す
- 1×1 + 2×3 = 7 となる組が当たり
- (x + 3)(2x + 1) (展開して 2x² + x + 6x + 3 を確認)
答え (x + 3)(2x + 1)
間違えやすい点
- 定数項の符号の振り分けを誤る、検算しない。
似た型との違い
「公式で因数分解する型」は公式が使える形(平方・和と差)。たすき掛けは a≠1 の一般形。
4. 有理化の型
使う問題
分母に √ が残っている分数。「有理化せよ」「簡単にせよ」と言われる。
考え方
分母を整数にするために、分母と同じ根号(または符号だけ変えた式)を分子・分母にかける。(a+b)(a−b)=a²−b² で根号が消える。
手順
- 分母が √a なら、分子・分母に √a をかける
- 分母が a+√b(√a−√b など)なら、符号だけ変えた形(共役)をかける
- (a+b)(a−b)=a²−b² で分母を整数にし、分子を整理して約分する
例題
問題 6/(√5 − √2) を有理化せよ。
- 分母の共役 (√5 + √2) を分子・分母にかける
- 分母:(√5 − √2)(√5 + √2) = 5 − 2 = 3
- 6(√5 + √2)/3 = 2(√5 + √2)
答え 2√5 + 2√2
間違えやすい点
- 分子にかけ忘れる、共役の符号を間違える。
似た型との違い
同じ単元の他の型とは、問題文の入口で見分けます。この型は「分母に √ が残っている分数。「有理化せよ」「簡単にせよ」と言われる。」が目印です。目印に当てはまらないときは、上の目次から他の型の「使う問題」を見比べてください。
5. 二重根号の型 ★入試頻出
使う問題
√(a ± 2√b) の形(根号の中にさらに根号がある)。
考え方
√(p ± 2√q) は「足して p、かけて q」になる 2 数 m, n を見つけると √m ± √n に直せる。
手順
- √(a ± 2√b) の形にそろえる(√ の前を 2 にする)
- 「足して a、かけて b」になる 2 数 p, q を探す
- √(a ± 2√b)=√p ± √q(p>q)。外したあとは正になるように大小をそろえる
例題
問題 √(7 + 2√10) の二重根号をはずせ。
- 2√10 の前が 2 なのでそのまま使える
- 足して 7、かけて 10 になる 2 数は 5 と 2
- √(7 + 2√10) = √5 + √2
答え √5 + √2
間違えやすい点
- 「足して a・かけて b」の確認不足、√p−√q の大小を逆にして負になる。
似た型との違い
外したあとが負にならないよう、引く式では大きい方から小さい方を引く。
6. 対称式の型 ★入試頻出
使う問題
x+y と xy の値が分かっていて、x²+y² や x³+y³ などの値を聞かれる。
考え方
x と y を入れかえても変わらない式(対称式)は、x+y と xy だけで書き直せる。直接 x, y を代入するより圧倒的に楽。
手順
- x+y と xy の値を先に求める
- 式を x+y と xy で書き直す(x²+y²=(x+y)²−2xy など)
- 値を代入して計算する(x, y を直接代入しない)
例題
問題 x + y = 3、xy = 1 のとき、x² + y² の値を求めよ。
- x² + y² = (x + y)² − 2xy と変形
- 3² − 2×1 = 9 − 2 = 7
答え 7
間違えやすい点
- x²+y²=(x+y)²−2xy の −2xy の符号、x³+y³ の公式のうろ覚え。
似た型との違い
同じ単元の他の型とは、問題文の入口で見分けます。この型は「x+y と xy の値が分かっていて、x²+y² や x³+y³ などの値を聞かれる。」が目印です。目印に当てはまらないときは、上の目次から他の型の「使う問題」を見比べてください。
7. 乗法公式で展開する型
使う問題
( )² の形、(x+a)(x−a) の形、(x+a)(x+b) の形など、「公式が使えそうな積」の展開。
考え方
展開を 1 つずつやるより、形を見抜いて公式に当てはめた方が速く、符号ミスも減る。
手順
- (A±B)²、(A+B)(A−B)、(x+a)(x+b)、(px+q)(rx+s) のどの形かを見分ける
- 公式に当てはめて項ごとに展開する(中央の項の 2 を忘れない)
- 同類項をまとめ、降べきの順に整理する
例題
問題 (2x − 3)² を展開せよ。
- (A − B)² = A² − 2AB + B² に A = 2x、B = 3 を当てはめる
- (2x)² − 2·2x·3 + 3² = 4x² − 12x + 9
答え 4x² − 12x + 9
間違えやすい点
- (x+3)² を x²+9 としてしまう(中央の 6x が抜ける)。
- 中央の項の「2」を落として x²+9 のように答える。
似た型との違い
「係数だけ取り出す展開の型」は一部の項、この型は全部を公式で展開する。
8. 公式で因数分解する型
使う問題
x²−25、x²+6x+9、x⁴−16、x³+8 のように、項が 2〜3 個で整った形の式を因数分解する。
考え方
展開の公式を逆向きに読む。共通因数→(2 項なら)差の公式/立方の公式→(3 項なら)平方の公式、の順に疑う。
手順
- 共通因数があれば先にくくり出す
- 項が 2 つなら A²−B² か A³±B³、3 つなら (A±B)² かたすき掛けを疑う
- 因数分解したら展開して検算し、まだ分解できる因数がないか確かめる
例題
問題 9x² − 16 を因数分解せよ。
- 9x² = (3x)²、16 = 4² と見る
- A² − B² = (A + B)(A − B) より (3x + 4)(3x − 4)
答え (3x + 4)(3x − 4)
間違えやすい点
- x²+4 のような「和の 2 乗」をむりに分解しようとする、最後まで分解しきらない。
- x² + 4 のような和の平方を無理に分解する。
似た型との違い
「たすき掛けの型」は a≠1 の一般形。こちらは公式が直接当てはまる形。
9. 絶対値の型
使う問題
絶対値 | | が出てくる方程式・不等式・式の計算。
考え方
|A| は原点からの距離。A≧0 なら A、A<0 なら −A と場合分けする。方程式・不等式なら「A = ±b」「−b < A < b」の形に直せる。
手順
- |A| は「A≧0 なら A、A<0 なら −A」で場合分けする(数直線上の原点からの距離)
- 方程式 |A|=b は A=±b、不等式 |A|<b は −b<A<b、|A|>b は A<−b または b<A
- √ を含むときは整数ではさんで中身の符号を決める
例題
問題 |x − 3| = 5 を解け。
- |x − 3| = 5 は x − 3 = 5 または x − 3 = −5
- x = 8、x = −2
答え x = 8, −2
間違えやすい点
- |A|=b で A=−b の場合を落とす、不等式で「間」と「外側」を取りちがえる。
似た型との違い
1 次不等式の型は不等号の向きに注意するが、この型は「±」で 2 つに分ける発想が中心。
10. 1次不等式の型
使う問題
「3x − 5 > 2x + 4」「連立不等式を満たす整数は?」のような 1 次の不等式。
考え方
方程式と同じように移項して解くが、負の数でわる(かける)と不等号の向きが逆になる。最後は数直線で確認。
手順
- 文字の項を左辺、数を右辺に移項して ax>b の形にする
- 両辺を a でわる(a が負なら不等号の向きを逆にする)
- 連立のときは数直線に解を並べ、共通部分を取る
例題
問題 5 − 2x < 11 を解け。
- 移項して −2x < 6
- 両辺を −2 でわる(不等号の向きが逆になる):x > −3
答え x > −3
間違えやすい点
- 負の数でわったのに不等号の向きを変えない、端の値を含むかの判断ミス。
似た型との違い
絶対値の型は範囲が「間」か「外側」かを判断するが、この型は 1 つの向きの範囲を出す。
11. 集合の要素の個数の型
使う問題
「A または B」「A かつ B」「どちらでもない」の人数・個数を聞かれる。n(A) や n(A ∩ B) の記号が出てくる。
考え方
A だけ・両方・B だけ・どちらでもない の 4 つの領域に分けるとミスが減る。重なりは 2 回数えているので 1 回引く。
手順
- ベン図をかき、A だけ・A∩B・B だけ・どちらでもない の 4 つの領域に分ける
- n(A∪B) = n(A)+n(B)−n(A∩B) を使って、足りない個数を求める
- 「どちらでもない」は全体から n(A∪B) を引く(ド・モルガンの法則)
例題
問題 n(U) = 30、n(A) = 18、n(B) = 14、n(A ∩ B) = 6 のとき、n(Ā ∩ B̄) を求めよ。
- n(A ∪ B) = 18 + 14 − 6 = 26
- どちらでもない = 全体 − 和集合 = 30 − 26 = 4
答え 4
間違えやすい点
- n(A)+n(B) をそのまま和集合の個数にして、重なりを引き忘れる。
似た型との違い
「倍数の個数を数える型」は、集合の考えを整数の倍数に使うタイプ。
12. 倍数の個数を数える型
使う問題
「1 から N までの整数のうち、a の倍数または b の倍数は何個?」という問題。
考え方
a の倍数の集合 A、b の倍数の集合 B とおく。「かつ」は最小公倍数の倍数。個数は N ÷ a の整数部分。
手順
- a の倍数の集合を A、b の倍数の集合を B とおく
- 「a かつ b の倍数」は最小公倍数の倍数。n(A)=⌊N÷a⌋ のように個数を出す
- 「または」は n(A)+n(B)−n(A∩B)、「どちらでもない」は全体から引く
例題
問題 1 から 100 までの整数のうち、4 の倍数または 6 の倍数は何個か。
- 4 の倍数:⌊100÷4⌋ = 25 個、6 の倍数:⌊100÷6⌋ = 16 個
- 両方 → 12 の倍数:⌊100÷12⌋ = 8 個
- 25 + 16 − 8 = 33
答え 33 個
間違えやすい点
- 「かつ」を a×b の倍数と考える(最小公倍数でよい)、割り算の切り捨てを忘れる。
- 「両方の倍数」を 24(4×6)の倍数にしてしまう(最小公倍数は 12)。
似た型との違い
「集合の要素の個数の型」は個数が与えられた問題、こちらは自分で個数を数える問題。
13. 整数部分・小数部分の型 ★入試頻出
使う問題
「√n の整数部分を a、小数部分を b とする」という設定が出てくる。
考え方
√n を平方数ではさんで整数部分を決める。小数部分は「もとの数 − 整数部分」で必ず 0 以上 1 未満になる。
手順
- √ を平方数ではさんで、整数部分 a を決める
- 小数部分 b =(もとの数)−(整数部分)
- 分数のときは先に有理化してから整数部分を調べる
例題
問題 √7 の整数部分を a、小数部分を b とするとき、a と b を求めよ。
- 2² < 7 < 3² より 2 < √7 < 3、a = 2
- b = √7 − 2
答え a = 2、b = √7 − 2
間違えやすい点
- 小数部分を「√n − 1」のように書き、整数部分を引き忘れる。
- 小数部分を √7 − 3 のように、1 つ大きい整数を引いてしまう。
似た型との違い
有理化の型の後に整数部分を求める問題もあるので、まず有理化してから大きさを調べる。
この単元を練習する
型を読んだら、実際に手を動かして定着させましょう。アプリでは、それぞれの型の問題が数値を変えて何度でも出題されます。同じ型で3回連続正解すると「定着」になります。