数学Ⅰ「データの分析」解き方の型 15選
データの分析は、平均値・中央値・四分位数・分散・標準偏差・相関係数など、用語の定義を正確に使う単元です。
計算自体は難しくありませんが、定義を少しでも取り違えると答えが変わります。「データを小さい順に並べる」「偏差の2乗の平均」などの手順を型として固定しておくと安心です。
このページでは、データの分析でよく使う解き方を 15 個の「型」に分け、それぞれ「使う問題・考え方・手順・例題・間違えやすい点・似た型との違い」の順に解説します。例題と解説はすべて当サイトのオリジナルです。
1. 平均値の型
使う問題
「平均値は?」とデータが並んでいる。
考え方
平均値 = データの合計 ÷ 個数。仮平均を使うと計算が楽になる。
手順
- すべての値を足し合わせる
- データの個数でわる
- 約分して答える(仮の平均を決めて差を足すと楽)
例題
問題 3, 5, 7, 9, 11 の平均値を求めよ。
- 合計 = 35
- 35 ÷ 5 = 7
答え 7
間違えやすい点
- 個数を数え間違えて、わる数がずれる。
似た型との違い
同じ単元の他の型とは、問題文の入口で見分けます。この型は「「平均値は?」とデータが並んでいる。」が目印です。目印に当てはまらないときは、上の目次から他の型の「使う問題」を見比べてください。
2. 中央値の型
使う問題
「中央値(メジアン)は?」。データが順不同で並んでいる。
考え方
小さい順に並べ替えてから、中央の値を取る。個数が偶数なら中央の 2 つの平均。
手順
- データを小さい順に並べ替える
- 個数が奇数なら真ん中の値
- 偶数なら真ん中 2 つの平均
例題
問題 2, 9, 4, 7 の中央値を求めよ。
- 小さい順:2, 4, 7, 9
- 個数が偶数なので中央 2 つの平均 (4 + 7)/2 = 5.5
答え 5.5
間違えやすい点
- 並べ替えずに真ん中をとる、偶数個で平均を忘れる。
- 並べ替えずに中央の位置を取ってしまう。
似た型との違い
平均値は全体の合計を使うが、中央値は順番だけで決まる。
3. 度数分布表の型
使う問題
階級と度数が並んだ表(度数分布表)が出てくる。
考え方
各階級の値を「階級値(真ん中の値)」とみなして、階級値 × 度数の合計を全体の度数でわる。
手順
- 度数の合計 n を確認する
- 平均値=Σ(値×度数)/n
- 最頻値は度数が最大の値(階級値)
例題
問題 階級 0〜10(度数 2)、10〜20(度数 3)の度数分布表の平均を求めよ。
- 階級値:5 と 15
- (5×2 + 15×3)/5 = 55/5 = 11
答え 11
間違えやすい点
- 度数をかけずに値だけを平均する。
- 階級の端の値(0 や 10)を階級値にしてしまう。
似た型との違い
個々の値でなく階級値を使う点が「平均値の型」との違い。
4. 四分位数の型
使う問題
「第 1 四分位数」「第 3 四分位数」「箱ひげ図」の値を求める。
考え方
小さい順に並べ、中央値で前半・後半に分け、それぞれの中央値が Q1・Q3。データが奇数個なら中央の値は含めない。
手順
- データを小さい順に並べ、全体の中央値 Q₂ を求める
- Q₂ より小さい半分の中央値が Q₁、大きい半分の中央値が Q₃
- 個数が奇数のとき、Q₂ はどちらの半分にも入れない
例題
問題 1, 3, 4, 6, 8, 9, 12 の Q1, Q3 を求めよ。
- 7 個。中央値は 6(4 番目)
- 前半 1, 3, 4 の中央値 Q1 = 3、後半 8, 9, 12 の中央値 Q3 = 9
答え Q1 = 3、Q3 = 9
間違えやすい点
- 奇数個のとき、中央値を半分に含めてしまう。
- 奇数個のとき中央値を前半・後半に含めてしまう。
似た型との違い
範囲・四分位範囲は、この値を使って引き算する次のステップ。
5. 範囲・四分位範囲の型
使う問題
「範囲」「四分位範囲」「四分位偏差」を求める。
考え方
範囲=最大−最小、四分位範囲=Q3−Q1、四分位偏差=四分位範囲÷2。
手順
- 範囲=最大値−最小値
- 四分位範囲=Q₃−Q₁
- Q₁・Q₃ は四分位数の型で求める
例題
問題 最小 2、Q1 = 5、Q3 = 11、最大 20 のとき範囲と四分位範囲を求めよ。
- 範囲 = 20 − 2 = 18
- 四分位範囲 = 11 − 5 = 6
答え 範囲 18、四分位範囲 6
間違えやすい点
- 範囲と四分位範囲の取り違え。
- 範囲と四分位範囲を取りちがえる。
似た型との違い
範囲は外れ値の影響を受けやすいが、四分位範囲は影響を受けにくい。
6. 分散の型
使う問題
「分散」を求める。データが少なく、偏差がきれいな値になる。
考え方
分散 =(偏差の 2 乗)の平均。偏差=値−平均。
手順
- 平均値 m を求める
- 分散=(偏差の 2 乗の平均)=(2 乗の平均)−m²
- 分数のまま計算して、最後に約分する
例題
問題 2, 4, 6 の分散を求めよ。
- 平均 = 4、偏差は −2, 0, 2
- 偏差² は 4, 0, 4 → 平均 8/3
答え 8/3
間違えやすい点
- 偏差をそのまま足して 0 になる、(平均)² を引き忘れる。
- 偏差の 2 乗を足したあと個数でわり忘れる。
似た型との違い
標準偏差は分散の平方根。
7. 標準偏差の型
使う問題
「標準偏差」を求める問題。分散から求める。
考え方
標準偏差 = √分散。分散を先に出してから平方根をとる。
手順
- まず分散を求める
- 標準偏差=√分散
- √ の中を簡単にする
例題
問題 1, 3, 5, 7 の標準偏差を求めよ。
- 平均 = 4、偏差² は 9, 1, 1, 9
- 分散 = 20/4 = 5、標準偏差 = √5
答え √5
間違えやすい点
- 分散のまま答える、√ の簡約のし忘れ。
- 分散のまま答える。
似た型との違い
分散と単位が違う(標準偏差はもとのデータと同じ単位)。
8. 相関係数の型 ★入試頻出
使う問題
2 つの変量 x, y があり、「相関係数」を聞かれる。
考え方
相関係数 r = 共分散 ÷(x の標準偏差 × y の標準偏差)。−1〜1 の値になる。
手順
- 相関係数 r=共分散/(x の標準偏差×y の標準偏差)
- 組のデータなら、平均→偏差の積の平均(共分散)を求める
- −1≦r≦1 になっているか確かめる
例題
問題 共分散 6、x の標準偏差 2、y の標準偏差 4 のとき相関係数を求めよ。
- r = 6/(2 × 4)
- = 3/4
答え 3/4
間違えやすい点
- 標準偏差でなく分散でわってしまう。
似た型との違い
共分散は単位をもつが、相関係数は単位のない値。
9. 変量の変換の型 ★入試頻出
使う問題
「全員に 5 点加える」「y = 3x + 2 に変換する」のようにデータを変換したときの平均・分散。
考え方
平均は変換と同じ操作をする。分散は定数を足しても変わらず、a 倍すると a² 倍。標準偏差は |a| 倍。
手順
- y=ax+b のとき 平均値は a×(x の平均)+b
- 分散は a²×(x の分散)(b は影響しない)、標準偏差は |a|×(x の標準偏差)
- u=(x−c)/d と置いた問題は、x=du+c に戻して求める
例題
問題 x の平均 10、分散 4。y = 3x + 2 の平均と分散を求めよ。
- 平均 = 3×10 + 2 = 32
- 分散 = 3² × 4 = 36(足した 2 は影響しない)
答え 平均 32、分散 36
間違えやすい点
- 分散に a をそのまま(2 乗せずに)かける。
- 分散にも 3 倍や +2 をそのまま使う。
似た型との違い
平均は足し算も反映されるが、分散は反映されない点が最大のちがい。
10. 2グループ合併の型 ★入試頻出
使う問題
2 つのグループ(人数・平均・分散が分かる)を合わせた全体の平均・分散。
考え方
平均は「合計 ÷ 人数」で合算する。分散は「2 乗の平均 − 平均の 2 乗」を使って合計から出す。
手順
- 合併の平均=(n₁m₁+n₂m₂)/(n₁+n₂)
- 各グループの 2 乗の平均=分散+平均²
- 合併の分散=(合併の 2 乗の平均)−(合併の平均)²
例題
問題 A(5 人、平均 60)と B(15 人、平均 80)を合わせた平均を求めよ。
- 合計 = 60×5 + 80×15 = 300 + 1200 = 1500
- 1500 ÷ 20 = 75
答え 75
間違えやすい点
- 分散どうしを単純に平均してしまう。
- 平均の平均を取ってしまう。
似た型との違い
単純に (60 + 80)/2 としないよう、人数の重みを考える。
11. 箱ひげ図を読む型
使う問題
「最小値・Q1・中央値・Q3・最大値」が与えられている、または箱ひげ図が出てくる。
考え方
箱ひげ図の 5 つの値を読むと、範囲(端から端)と四分位範囲(箱の幅)が出る。外れ値は箱の端から四分位範囲の 1.5 倍より外。
手順
- 箱ひげ図の 5 つの値(最小・Q1・中央値・Q3・最大)を読み取る
- 範囲 = 最大−最小、四分位範囲 = Q3−Q1、四分位偏差 = 四分位範囲÷2
- 外れ値は Q1−1.5×四分位範囲 より小さい、Q3+1.5×四分位範囲 より大きい値
例題
問題 最小 3、Q1 = 8、中央値 12、Q3 = 15、最大 24 の四分位範囲を求めよ。
- 四分位範囲 = Q3 − Q1
- 15 − 8 = 7
答え 7
間違えやすい点
- 範囲(最大−最小)と四分位範囲(箱の幅)を取りちがえる。
似た型との違い
「四分位数の型」で値を出した後に使う。範囲と四分位範囲を取りちがえやすい。
12. 偏差値の型
使う問題
「偏差値」「平均点・標準偏差が分かっていて、○点の偏差値は?」。
考え方
偏差値=50+10×(得点−平均点)÷標準偏差。標準偏差を 1 つの単位として、平均からのずれを測り直したもの。
手順
- 偏差値 = 50 + 10×(得点−平均点)÷ 標準偏差
- 得点や標準偏差を求めるときは、この式をその文字について解く
- 偏差値 10 の差は標準偏差 1 つ分の得点差
例題
問題 平均 60 点、標準偏差 10 点の試験で、75 点の偏差値を求めよ。
- 偏差値 = 50 + 10×(75 − 60)/10
- = 50 + 15 = 65
答え 65
間違えやすい点
- 標準偏差でわらずに計算する、偏差値と得点を同じ尺度で足し引きする。
似た型との違い
偏差値 50 が平均、偏差値 10 の差が標準偏差 1 つ分と覚えると逆算が楽。
13. 共分散・相関係数の型
使う問題
2 つの変量のデータが対で並び、「共分散」を求める。または相関係数から共分散を求める。
考え方
共分散 =(x の偏差 × y の偏差)の平均。相関係数 = 共分散 ÷ 標準偏差の積。
手順
- 共分散 =(x の偏差)×(y の偏差)の平均
- 相関係数 = 共分散 ÷(x の標準偏差×y の標準偏差)
- 値は −1〜1。符号は共分散の符号と同じ
例題
問題 (x, y) = (1, 2)、(3, 6)、(5, 4) の共分散を求めよ。
- x̄ = 3、ȳ = 4
- 偏差の積:(−2)(−2) = 4、0×2 = 0、2×0 = 0
- 共分散 = 4/3
答え 4/3
間違えやすい点
- 偏差の積を合計したあと、個数でわり忘れる。
似た型との違い
分散は 1 つの変量、共分散は 2 つの変量の偏差の積。
14. 外れ値を見つける型 ★入試頻出
使う問題
「外れ値」の基準(Q1−1.5×四分位範囲 など)が書いてある。
考え方
小さい順に並べて Q1・Q3 を出し、基準の範囲を作る。その外にある値が外れ値。
手順
- データを小さい順に並べ、四分位数 Q1、Q3 を求める(中央値で上下に分ける)
- 四分位範囲 = Q3−Q1、基準 = Q1−1.5×四分位範囲、Q3+1.5×四分位範囲
- 基準の外側にある値を数える・答える
例題
問題 1, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 30 の外れ値を、基準「Q1 − 1.5×IQR 未満、Q3 + 1.5×IQR 超」で求めよ。
- 8 個。前半 1, 4, 5, 6 → Q1 = 4.5、後半 7, 8, 9, 30 → Q3 = 8.5、IQR = 4
- 基準は 4.5 − 6 = −1.5 未満、8.5 + 6 = 14.5 超
- 外れ値は 30
答え 30
間違えやすい点
- データが奇数個のとき、中央値を上下の半分に含めてしまう。
似た型との違い
四分位数の型を使い、さらに基準の判定が加わる応用型。
15. 分散を 2 乗の平均で求める型
使う問題
「平均が m、2 乗の平均が ○」または「合計と 2 乗の合計」が与えられ、分散を求める。
考え方
分散 =(2 乗の平均)−(平均の 2 乗)。偏差を 1 つずつ出さなくても、合計から直接求められる。
手順
- 平均 m と 2 乗の平均を求める(合計が与えられたら個数でわる)
- 分散 =(2 乗の平均)−(平均)²
- 標準偏差 = √分散
例題
問題 平均が 5、2 乗の平均が 28 のとき分散と標準偏差を求めよ。
- 分散 = 28 − 5² = 3
- 標準偏差 = √3
答え 分散 3、標準偏差 √3
間違えやすい点
- 平均を 2 乗し忘れる、個数でわる前の合計どうしで引く。
似た型との違い
定義どおりに偏差を出す「分散の型」より速く、データが多い問題で便利。
この単元を練習する
型を読んだら、実際に手を動かして定着させましょう。アプリでは、それぞれの型の問題が数値を変えて何度でも出題されます。同じ型で3回連続正解すると「定着」になります。