数学Ⅰ「図形と計量」解き方の型 12選
図形と計量は、正弦定理・余弦定理・三角形の面積を使って、辺や角を求める単元です。
「何がわかっていて、何を求めるか」で使う定理が決まります。2辺と間の角なら余弦定理、外接円の半径が関わるなら正弦定理、というように入口で型を決めましょう。
このページでは、図形と計量でよく使う解き方を 12 個の「型」に分け、それぞれ「使う問題・考え方・手順・例題・間違えやすい点・似た型との違い」の順に解説します。例題と解説はすべて当サイトのオリジナルです。
1. 正弦定理の型
使う問題
三角形で「1 つの辺とその向かいの角」の組が分かっている。外接円の半径が出てくることもある。
考え方
正弦定理 a/sinA = b/sinB = 2R。向かい合う「辺と角」のペアを 1 組見つければ、他の辺が出せる。
手順
- 「辺と、その対角」のペアを 2 組見つける(a と A、b と B)
- 内角の和 180° で、足りない角を先に求める
- a/sin A=b/sin B を変形して、求める辺に代入する
例題
問題 △ABC で A = 45°、B = 60°、a = √2 のとき b を求めよ。
- a/sinA = b/sinB より √2/sin45° = b/sin60°
- b = √2 × (√3/2) ÷ (√2/2) = √3
答え b = √3
間違えやすい点
- 辺と角の対応を取り違える(a の対角は A)。
似た型との違い
余弦定理は「2 辺とはさむ角」「3 辺」が分かっているときに使う。
2. 余弦定理の型
使う問題
2 辺とその間の角が分かっている、または 3 辺が分かっていて角を求めたい。
考え方
余弦定理 a² = b² + c² − 2bc·cosA。三平方の定理の「角度つき版」と考える。
手順
- 2 辺とその間の角がわかっているか確認する
- a²=b²+c²−2bc cos A に代入して a² を求める
- 辺の長さなので √ をとって正の値を答える
例題
問題 △ABC で b = 3、c = 5、A = 60° のとき a を求めよ。
- a² = 9 + 25 − 2·3·5·cos60° = 34 − 15 = 19
- a = √19
答え a = √19
間違えやすい点
- −2bc cos A の符号、鈍角の cos の符号。
- −2bc·cosA の符号を忘れる。
似た型との違い
向かい合う辺と角の組が見えるなら正弦定理、はさむ角なら余弦定理。
3. 面積(2辺と間の角)の型
使う問題
2 辺とその間の角が分かっていて、面積を聞かれる。
考え方
三角形の面積は ½·ab·sinC。底辺 × 高さを、角度で高さを作って表した式。
手順
- 2 辺とその間の角を確認する
- S=½ bc sin A に代入する
- cos しかわからないときは sin²+cos²=1 で sin A を出す(0°<A<180° なので正)
例題
問題 △ABC で b = 4、c = 6、A = 30° のとき面積を求めよ。
- S = ½ · 4 · 6 · sin30° = 12 × ½
- = 6
答え 6
間違えやすい点
- 「間の角」でない角を使ってしまう。
似た型との違い
3 辺しか分からないときは「面積(3 辺)」を使う。
4. 面積(3辺)の型
使う問題
3 辺の長さだけが分かっていて、面積を聞かれる(直角三角形ではない)。
考え方
ヘロンの公式 S = √(s(s−a)(s−b)(s−c)) [s は周の半分]。または余弦定理で cos、sin を出して ½bc·sinA。
手順
- 余弦定理で cos A を求める
- sin A=√(1−cos²A)(正の値)を求める
- S=½ bc sin A(またはヘロンの公式 S=√(s(s−a)(s−b)(s−c)))
例題
問題 3 辺が 5、6、7 の三角形の面積を求めよ。
- s = (5 + 6 + 7)/2 = 9
- S = √(9 · 4 · 3 · 2) = √216 = 6√6
答え 6√6
間違えやすい点
- ヘロンの公式の s は周の半分 (a+b+c)/2。
似た型との違い
同じ単元の他の型とは、問題文の入口で見分けます。この型は「3 辺の長さだけが分かっていて、面積を聞かれる(直角三角形ではない)。」が目印です。目印に当てはまらないときは、上の目次から他の型の「使う問題」を見比べてください。
5. 外接円の半径の型 ★入試頻出
使う問題
外接円の半径 R を求める。1 つの辺とその向かいの角が分かる。
考え方
正弦定理 a/sinA = 2R より R = a/(2sinA)。
手順
- 辺とその対角のペアを見つける
- a/sin A=2R から R=a/(2 sin A)
- 2R は直径。R は半径
例題
問題 △ABC で a = 3、A = 30° のとき外接円の半径 R を求めよ。
- R = a/(2 sinA) = 3/(2 × 1/2)
- = 3
答え R = 3
間違えやすい点
- 2R と R を取り違える。
似た型との違い
内接円の半径は面積を使う型、外接円は正弦定理の型。
6. 3辺から R・r を求める型 ★入試頻出
使う問題
3 辺から外接円の半径 R と内接円の半径 r を求める。
考え方
R は面積 S を使って R = abc/(4S)。r は S = ½r(a+b+c) から r = 2S/(a+b+c)。
手順
- 3 辺から面積 S を求める(ヘロンの公式など)
- 外接円:S=abc/(4R) から R=abc/(4S)
- 内接円:S=½ r(a+b+c) から r=2S/(a+b+c)
例題
問題 3 辺が 3、4、5 の三角形の R と r を求めよ。
- 面積 S = ½·3·4 = 6
- R = abc/(4S) = 60/24 = 5/2
- r = 2S/(a+b+c) = 12/12 = 1
答え R = 5/2、r = 1
間違えやすい点
- 内接円で (a+b+c) の ½ を忘れる。
似た型との違い
同じ単元の他の型とは、問題文の入口で見分けます。この型は「3 辺から外接円の半径 R と内接円の半径 r を求める。」が目印です。目印に当てはまらないときは、上の目次から他の型の「使う問題」を見比べてください。
7. 3辺から角を求める型 ★入試頻出
使う問題
3 辺が分かっていて、角の大きさ(または cos の値)を求める。
考え方
余弦定理を cosA = (b²+c²−a²)/2bc の形にして使う。cos の符号で鋭角・直角・鈍角が分かる。
手順
- 余弦定理 cos A=(b²+c²−a²)/(2bc)
- sin A が必要なら sin²A+cos²A=1(0°<A<180° なので正)
- a の対角が A、と対応を確認する
例題
問題 3 辺が a = 7、b = 3、c = 5 のとき ∠A の大きさを求めよ。
- cosA = (9 + 25 − 49)/(2·3·5) = −15/30 = −1/2
- A = 120°
答え 120°
間違えやすい点
- 分子 b²+c²−a² で、引く辺を間違える。
似た型との違い
余弦定理の型の「逆向き」(辺から角を出す)。
8. 三角形の成立条件の型
使う問題
「3 辺が x, x+2, x+5 の三角形が存在するような x の範囲」。辺の長さに文字がある。
考え方
三角形が成り立つ条件は「最大の辺 < 他の 2 辺の和」。差 < 第 3 辺 < 和 と覚える。
手順
- 成立条件:最大の辺 < 他の 2 辺の和(「差 < 第 3 辺 < 和」)
- 文字を含む辺について不等式をつくり、範囲を出す
- 端の値は含まないことに注意して、条件に合う整数を数える
例題
問題 3 辺が 4、7、x の三角形が存在するような整数 x は何個か。
- 3 < x < 11
- 整数は 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10 の 7 個
答え 7 個
間違えやすい点
- 端(差・和と等しい値)を含めてしまう。
- 端の値(3 や 11)まで数えてしまう。
似た型との違い
余弦定理の型とは違い、長さの範囲だけを調べる。
9. 円に内接する四角形の型
使う問題
「円に内接する四角形」で、4 辺の長さから角や対角線を求める。
考え方
対角線を 1 本引いて 2 つの三角形に余弦定理を使う。内接四角形は対角の和が 180° なので cos の符号が逆になる。
手順
- 対角線を 1 本引き、2 つの三角形に余弦定理を使う
- 内接四角形は対角の和が 180° なので cosC = −cosA
- 同じ対角線の長さを 2 通りに表して等式にする
例題
問題 円に内接する四角形 ABCD で AB = 2、BC = 3、CD = 2、DA = 3 のとき cos∠A を求めよ。
- BD² = 2² + 3² − 2·2·3cosA = 13 − 12cosA
- ∠C = 180° − ∠A なので BD² = 3² + 2² + 2·3·2cosA = 13 + 12cosA
- 2 式を比べて cosA = 0
答え cosA = 0
間違えやすい点
- 対角の cos の符号を同じにしてしまう。
似た型との違い
余弦定理を 2 回使い、対角の cos が符号違いになる点が特徴。
10. 測量(高さ・距離)の型
使う問題
「塔の高さ」「川幅」「仰角」「見上げる角」が出てくる測量の文章題。
考え方
文章を直角三角形の図にする。高さ=水平距離×tan、水平距離=高さ÷tan。2 地点から測るときは高さ h を文字にする。
手順
- 問題文から直角三角形(水平距離・高さ・仰角)を図にかく
- 高さ = 水平距離 × tan、距離 = 高さ ÷ tan
- 2 地点からのときは、高さ h を文字にして 2 つの距離を h で表す
例題
問題 塔の根元から 20 m 離れた地点から先端を見上げた角が 30° のとき、塔の高さを求めよ(目の高さは無視)。
- 高さ = 水平距離 × tan30° = 20 × √3/3
- = 20√3/3 m
答え 20√3/3 m
間違えやすい点
- tan をかける・わるを逆にする。
- tan を掛けるのか割るのかを逆にする。
似た型との違い
正弦定理・余弦定理を使うこともあるが、直角三角形が見えるなら tan だけで十分。
11. 直方体・立方体の型
使う問題
直方体・立方体が出てきて、対角線の長さや空間の三角形の面積を聞かれる。
考え方
平面に落として直角三角形を作る。直方体の対角線は √(縦²+横²+高さ²)。空間の三角形も、辺の長さを三平方の定理で出す。
手順
- 面の対角線 → 三平方の定理を 2 回使って空間の対角線を求める(√(a²+b²+c²))
- 空間の三角形は、辺の長さを三平方の定理で出してから余弦定理・面積へ
- 求めた値が √ のときは、根号の中を簡単にして答える
例題
問題 3 辺が 1、2、2 の直方体の対角線の長さを求めよ。
- √(1² + 2² + 2²) = √9
- = 3
答え 3
間違えやすい点
- 3 辺を 2 乗して足したあとの √ を忘れる。
似た型との違い
平面の三平方の定理を 2 回使った公式と考える。
12. 錐体の高さと体積の型
使う問題
正四角錐・正四面体・円錐の「高さ」や「体積」を求める。
考え方
頂点から底面へ垂線を下ろし、垂線の足(中心・重心)を決める。そこでできる直角三角形で高さを出し、体積は (1/3)×底面積×高さ。
手順
- 頂点から底面へ垂線を下ろし、垂線の足の位置を決める(中心・重心)
- 高さを直角三角形の三平方の定理で求める
- 体積 V = (1/3) × 底面積 × 高さ
例題
問題 底面が 1 辺 4 の正方形、側面の辺がすべて 6 の正四角錐の高さ h を求めよ。
- 底面の対角線の半分 = 4√2/2 = 2√2
- h² = 6² − (2√2)² = 36 − 8 = 28
- h = 2√7
答え h = 2√7
間違えやすい点
- 1/3 を掛け忘れる、垂線の足までの長さを間違える。
- 垂線の足を底面の中心ではなく頂点と取りちがえる。
似た型との違い
平面図形の問題と違い、「どの直角三角形を取り出すか」を決める力が必要。
この単元を練習する
型を読んだら、実際に手を動かして定着させましょう。アプリでは、それぞれの型の問題が数値を変えて何度でも出題されます。同じ型で3回連続正解すると「定着」になります。