数学Ⅰ「三角比」解き方の型 12選
三角比は、直角三角形の辺の比から始まり、鈍角への拡張、相互関係(sin²θ+cos²θ=1 など)へ進みます。
覚える値は 30°・45°・60° の三角形が中心です。値を丸暗記するより、三角形を頭の中でかいて辺の比から出せるようにすると、符号のミスも防げます。
このページでは、三角比でよく使う解き方を 12 個の「型」に分け、それぞれ「使う問題・考え方・手順・例題・間違えやすい点・似た型との違い」の順に解説します。例題と解説はすべて当サイトのオリジナルです。
1. 有名角の三角比の型
使う問題
30°・45°・60° の sin, cos, tan の値を答える・使う。
考え方
正三角形の半分(1 : 2 : √3)と直角二等辺三角形(1 : 1 : √2)の辺の比から導ける。丸暗記より図で再現できると強い。
手順
- 30°・45°・60° の三角比(辺の比 1:2:√3、1:1:√2)を思い出す
- 90° 以上は 180°−θ や単位円で、符号と値を決める
- sin は 0〜180° で 0 以上、cos・tan は鈍角で負
例題
問題 sin 60° + cos 45° の値を求めよ。
- sin 60° = √3/2、cos 45° = √2/2
- 和は (√3 + √2)/2
答え (√3 + √2)/2
間違えやすい点
- 鈍角の符号(cos150° は負)、tan の分母・分子の取り違え。
似た型との違い
同じ単元の他の型とは、問題文の入口で見分けます。この型は「30°・45°・60° の sin, cos, tan の値を答える・使う。」が目印です。目印に当てはまらないときは、上の目次から他の型の「使う問題」を見比べてください。
2. sin²+cos²=1 の型(鋭角)
使う問題
「θ は鋭角で sinθ = ○のとき cosθ・tanθ を求めよ」。
考え方
sin²θ+cos²θ=1 が土台。鋭角なら cos は正。tanθ=sinθ/cosθ。
手順
- sin²θ+cos²θ=1 に代入して、残りの 2 乗を求める
- 鋭角なので sin θ>0, cos θ>0(平方根は正)
- tan θ=sin θ/cos θ で tan を出す
例題
問題 0° < θ < 90°、sinθ = 3/5 のとき cosθ、tanθ を求めよ。
- cos²θ = 1 − 9/25 = 16/25、鋭角なので cosθ = 4/5
- tanθ = (3/5)/(4/5) = 3/4
答え cosθ = 4/5、tanθ = 3/4
間違えやすい点
- 平方根をとるときの符号の確認、分母の有理化の有無。
似た型との違い
鈍角のときは符号の型に注意。
3. 鈍角の符号の型
使う問題
「90° < θ < 180° で…」と、鈍角の条件がついている。
考え方
値は公式から出るが、符号だけは「鈍角では cos と tan が負」で決める。
手順
- sin²θ+cos²θ=1 で絶対値を求める
- 鈍角なので sin θ>0, cos θ<0, tan θ<0
- 符号をつけて答える(tan θ=sin θ/cos θ)
例題
問題 90° < θ < 180°、sinθ = 5/13 のとき cosθ、tanθ を求めよ。
- cos²θ = 1 − 25/169 = 144/169
- 鈍角なので cosθ = −12/13
- tanθ = (5/13)/(−12/13) = −5/12
答え cosθ = −12/13、tanθ = −5/12
間違えやすい点
- cos θ を正のまま答える。
- cos を正のまま答える。
似た型との違い
鋭角の型と手順は同じで、符号の判断だけが増える。
4. tan θ から sin・cos を求める型 ★入試頻出
使う問題
「tanθ = 2 のとき sinθ, cosθ を求めよ」。tan だけが与えられている。
考え方
1+tan²θ=1/cos²θ を使うと cos が出て、sinθ=tanθ·cosθ で sin も出る。直角三角形(対辺 2、隣辺 1)をかいてもよい。
手順
- 1+tan²θ=1/cos²θ から cos²θ を求める
- θ の範囲で cos θ の符号を決める(tan が負なら鈍角)
- sin θ=tan θ·cos θ
例題
問題 0° < θ < 90°、tanθ = 2 のとき sinθ, cosθ を求めよ。
- 1/cos²θ = 1 + 4 = 5 より cosθ = 1/√5 = √5/5
- sinθ = tanθ × cosθ = 2√5/5
答え sinθ = 2√5/5、cosθ = √5/5
間違えやすい点
- cos θ の符号を範囲から決め忘れる。
似た型との違い
同じ単元の他の型とは、問題文の入口で見分けます。この型は「「tanθ = 2 のとき sinθ, cosθ を求めよ」。tan だけが与えられている。」が目印です。目印に当てはまらないときは、上の目次から他の型の「使う問題」を見比べてください。
5. tan θ で式の値を求める型 ★入試頻出
使う問題
「tanθ = ○のとき (sinθ + cosθ)/(sinθ − cosθ) の値は?」。分数式で sin と cos が両方出る。
考え方
分子・分母を cosθ でわると、tanθ だけの式になる。θ の値を求める必要はない。
手順
- 分母・分子の各項を cos θ(または cos²θ)でわって tan θ の式にする
- tan θ=k を代入する
- 1/(1+sin θ)+1/(1−sin θ) は通分して 2/cos²θ=2(1+tan²θ)
例題
問題 tanθ = 2 のとき (sinθ + cosθ)/(sinθ − cosθ) の値を求めよ。
- 分子・分母を cosθ でわる:(tanθ + 1)/(tanθ − 1)
- (2 + 1)/(2 − 1) = 3
答え 3
間違えやすい点
- すべての項を cos θ でわり忘れる(定数項も 1/cos θ になる)。
似た型との違い
「tanθ から sin・cos を求める型」と似るが、こちらは sin・cos を求めず式の値だけ出す。
6. sin θ+cos θ の型 ★入試頻出
使う問題
「sinθ + cosθ = ○のとき、sinθ cosθ(または sin³θ+cos³θ)の値は?」。
考え方
両辺を 2 乗すると sin²θ+cos²θ=1 と sinθ cosθ が出てくる。3 乗の和は (A+B)(A²−AB+B²) で処理する。
手順
- 両辺を 2 乗して sin θ cos θ=((sinθ+cosθ)²−1)/2 を求める
- 求める式を sin θ+cos θ と sin θ cos θ で書く(立方和など)
- sin θ−cos θ は (sinθ−cosθ)²=1−2sinθcosθ から。符号は θ の範囲で決める
例題
問題 sinθ + cosθ = 1/2 のとき、sinθ cosθ の値を求めよ。
- 両辺を 2 乗:sin²θ + 2sinθcosθ + cos²θ = 1/4
- 1 + 2sinθcosθ = 1/4 より sinθcosθ = −3/8
答え −3/8
間違えやすい点
- sin θ−cos θ の符号(90°<θ<180° なら正)の判断。
似た型との違い
対称式の型と同じ発想(和から積を出す)。
7. 三角比の値から角を求める型
使う問題
「0° ≦ θ ≦ 180° で sinθ = ○ を満たす θ を求めよ」と、値から角を探す。
考え方
単位円で y 座標が sin、x 座標が cos、傾きが tan。0°〜180° では sinθ の値に対して θ と 180°−θ の 2 つがある。
手順
- 単位円(半径 1)で、y 座標が sin、x 座標が cos、傾きが tan と考える
- sin は「θ と 180°−θ」の 2 つ、cos・tan は 1 つに決まる
- 0°≦θ≦180° の範囲に入っているか確認して答える
例題
問題 0° ≦ θ ≦ 180° のとき、sinθ = 1/2 を満たす θ を求めよ。
- 単位円で y 座標 1/2 になる点は 2 つ
- θ = 30°、150°
答え θ = 30°, 150°
間違えやすい点
- sinθ の解を 1 つだけ書く、cosθ が負のときに鋭角を答える。
- sin の解を 30° の 1 つだけ書く。
似た型との違い
cos・tan は 1 つに決まる。sin だけ 2 つあることが見分けのポイント。
8. 補角・余角の公式の型
使う問題
120°・135°・150° のような鈍角の三角比、または sin(90°−θ) のような余角の式。
考え方
鈍角は 180°−θ に直す(sin はそのまま、cos・tan は符号が変わる)。90°−θ なら sin と cos が入れかわる。
手順
- 鈍角は 180°−θ に直す:sin はそのまま、cos・tan は符号が変わる
- 90°−θ の形なら sin↔cos が入れかわる(tan は逆数)
- 値を出して計算、または sin²+cos²=1 などで簡単にする
例題
問題 cos 135° の値を求めよ。
- 135° = 180° − 45°
- cos 135° = −cos 45° = −√2/2
答え −√2/2
間違えやすい点
- 鈍角の cos・tan の符号(マイナス)を落とす。
似た型との違い
有名角の三角比は鋭角が前提、こちらは鈍角・余角に拡張した型。
9. 直線の傾きと角の型
使う問題
「直線 y = ○x が x 軸の正の向きとなす角」「傾きが ○の直線」。
考え方
原点を通る直線の傾き m は、x 軸の正の向きとなす角を θ として m = tanθ。傾きと角を行き来できる。
手順
- 直線の傾き m は、x 軸の正の向きとなす角 θ を使って m = tanθ
- 傾きから角、角から傾きを tan の表で行き来する
- 2 直線のなす角は、それぞれの角の差で求める
例題
問題 直線 y = (√3/3)x が x 軸の正の向きとなす角(鋭角)を求めよ。
- 傾き = tanθ = √3/3
- tan 30° = √3/3 より θ = 30°
答え 30°
間違えやすい点
- 傾きを sinθ や cosθ と取りちがえる、鈍角のとき傾きが負になることを忘れる。
似た型との違い
「三角比の値から角を求める型」の tan 版にあたり、図形としては直線の傾きを使う。
10. 三角方程式の型
使う問題
「sinθ = ○」「2cos²θ + cosθ − 1 = 0」など、方程式の形で θ を求める。
考え方
sinθ や cosθ を t とおいて 2 次方程式に直す。t の範囲(−1〜1)を確認してから、単位円で θ を求める。
手順
- sinθ(または cosθ)の値になるまで式を整理する(2 次式なら t と置いて因数分解)
- t の取りうる範囲(−1〜1)を確認する
- 0°〜180° で単位円を使い、θ をすべて求める
例題
問題 0° ≦ θ ≦ 180° のとき、2cos²θ + cosθ − 1 = 0 を解け。
- cosθ = t とおくと 2t² + t − 1 = (2t − 1)(t + 1) = 0
- t = 1/2、−1(どちらも −1 ≦ t ≦ 1 を満たす)
- θ = 60°、180°
答え θ = 60°, 180°
間違えやすい点
- sin の解を 1 つだけ書く、t の範囲外の値を解に入れる。
似た型との違い
「三角比の値から角を求める型」は 1 次、こちらは 2 次方程式に直す工程が加わる。
11. 三角不等式の型 ★入試頻出
使う問題
「sinθ > ○」「cosθ ≦ ○」のような不等式で θ の範囲を求める。
考え方
不等号を等号にして境界の角を出し、グラフの形(cos は減少、sin は山形)で範囲が間か外かを決める。
手順
- 不等号を等号にして、境界の角を求める
- グラフの形を思い出す(cos は減少、sin は山形、tan は 90° で途切れる)
- 境界の間か外側かを選び、等号の有無を答えに反映する
例題
問題 0° ≦ θ ≦ 180° のとき、cosθ > 1/2 を解け。
- cosθ = 1/2 となる角は 60°
- 0°〜180° で cos は減少するので、cosθ > 1/2 は角が小さい側
- 0° ≦ θ < 60°
答え 0° ≦ θ < 60°
間違えやすい点
- 山形(sin)を単調だと思い込む、θ=90° で tan が定義されないことを忘れる。
- 山形(sin)のときに片側の範囲だけを答える。
似た型との違い
三角方程式の解を境界にして、大小を判断する型。
12. 三角比の定義の型
使う問題
直角三角形が出てきて、「sinA の値は?」と聞かれる。または「tanA = ○のとき sinA は?」。
考え方
sin = 対辺/斜辺、cos = 隣辺/斜辺、tan = 対辺/隣辺。足りない辺は三平方の定理。
手順
- 角 A から見て、対辺・隣辺・斜辺を決める
- 足りない 1 辺を三平方の定理で求める
- sinA=対辺/斜辺、cosA=隣辺/斜辺、tanA=対辺/隣辺
例題
問題 ∠C = 90° の直角三角形で BC = 3、CA = 4 のとき、sinA、cosA、tanA を求めよ。
- AB = √(3² + 4²) = 5(三平方の定理)
- sinA = 3/5、cosA = 4/5、tanA = 3/4
答え sinA = 3/5、cosA = 4/5、tanA = 3/4
間違えやすい点
- 対辺と隣辺を取りちがえて sin と cos を逆にする。
似た型との違い
角 A から見た対辺・隣辺を取りちがえると sin と cos が入れかわる。
この単元を練習する
型を読んだら、実際に手を動かして定着させましょう。アプリでは、それぞれの型の問題が数値を変えて何度でも出題されます。同じ型で3回連続正解すると「定着」になります。